ハードコンタクトの豪傑たち

昔ハードコンタクトを使っていた連中の中には豪傑がいたもんだ。そんじょそこらの眼科医なんか太刀打ちできない、検査員なんか小僧っ子扱いだったよ。まあ、とんでもない人たちだったが今ではこれも懐かしいぜ。

ハードコンタクトをはずしたことがないおばさん

五十歳くらいのおばさんはコンタクト使用歴20年以上の超ベテランだった。なんとそのおばさんコンタクトレンズをもう5年くらい目からはずしてないと豪語していた。でもそんなことをしたら酸素不足で角膜が大変なことになってしまう(・・;)
おどろいて聞いてみた。そしたらそのおばさんコンタクトは眠るとき黒目から白目へずらして眠るそうなのだ。確かに白目である結膜のほうへずらしてしまえば角膜には新鮮な酸素と涙液が供給される。白目自体は酸素を供給しなくても問題はない。完璧な答えだ!!
ハードレンズのケースは当然持っていないそうだ。結膜がケース代わりなのだ。すごいすごすぎる!!

DIA(直径)6.0mm以下のハードコンタクトに情熱を燃やす発明おじいちゃん

ハードコンタクトを希望されたおじいちゃんは何とサイズDIAを5.8mmくらいにできないかとしつこく粘られた。実際ご本人がお使いのレンズも6.2mmであった。
おじいちゃん曰くハードコンタクトはアクリル樹脂だから酸素の透過性は0である。だがサイズをうーんと小さくして角膜を覆う部分を少なくすればするほど角膜に酸素がいきわたる。
そりゃそうだ!でも小さくすればするほど角膜上での動きが大きくなりずれたり落ちたりしやすくなる。さらに小さくし過ぎれば瞳孔を覆いきれずにエッジ部分がかかってしまうことも考えられる。
しかしおじいちゃんBCをきつめにして動きを抑えることもちゃーんと計算していた。
もう30年以上まえのことなのでどのような結果になったか忘れてしまったが、一番驚いたのはサイズ計でお持ちのハードコンタクトをサイズ計で測ったところ小さすぎてサイズ計の穴から落っこちてしまったことだ。
サイズ計で測定できないコンタクトがこの世にあった(^_^;)

反転技のお姉さん

30歳くらいのお姉さんは、いつもお宅のハードレンズは反転してしまうと言って持ってくる。ハードの反転とは傘でいうところの『おちょこ』(・・;)
もっともこの『おちょこ』とうい言葉、今では死語になっているそうで若い人にはわからないらしい。世も末だ(^_^;)
それだけ傘も品質がよくなったのだろう。昔の傘は強い風が内側から入れば傘が裏返しになってしまったのだ。この状態を『おちょこ』という。
ハードレンズの『おちょこ』は大変だ!ハードを裏返すなんでそうそうできるものではない。無理して反転させようとすれば、普通は割れてしまう。それを何回も反転させるのだから相当の芸達者かユリゲラーなのだ。今風にいえばミスターマリックなのだ。
不思議な現象なのでお姉さんに扱い方法を再現してもらった。そしたらおもむろにお姉さんハンカチを取り出しハードレンズをこすり始めた。やっぱマジシャンなのだ。。。そして目に入れた???
ハードレンズをハンカチでこすって汚れを取ってつけていたそうなのだ。なるほど、ハンカチでハードレンズをこすることによって摩擦で熱が派生してレンズのアクリルが柔らかくなって反転したのだ!!
そのあとちゃーんと洗浄液をつけて指でこすり水道水ですすぐよう説明して納得してもらいました(^_^;)どこであんな技覚えたんだろうね
※ちなみにハードコンタクトは反転させてしまうとレンズの素材の中にクラックができたり歪みが起きてBCが変わってしまうので反転したものを戻しても使えません。

つばでなめて入れる

いやーハードコンタクトは乾いた時や落とした時には唾でなめて目に入れたものだった。なぜかなめて入れると曇りも解消した(笑)昭和年頃は眼科でもそんなふうに教えていたと思う。今じゃそんなこと言ったらたいへんだ。唾液の中には緑膿菌がいるだの食べかすなどうようよだから目に障害を及ぼすなどと言われてお叱りを受けてしまう。基本、唾でなめてコンタクトを入れてはいけません!!でも昭和50年ころまではそんなふうにして使っていたんだよ。

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